他人物売買とは、他人の物を売買することをいいます。
民法では、他人の物を売買する契約も、有効な契約であるとしています。
本来他人の物をバイバウすることは不可能で、当初から不能、つまり原則的不能です。
そのような売買契約の効力自体を、無効とするという考えもあります。
ですが、日本では他人の物の売買契約であっても、売主と買主の間では有効な契約として取り扱う、という法的構成を採用しています。
他人物売買契約が有効に成立するためには、他人物の売主が、その者が他人の物であると悪意で知っていた場合でも、善意で知らなかった場合でも、どちらでもいいとされています。
また買主についても同様です。
また、その物の真の所有者が、他人物の売主に対し、その物を譲渡する意思がまったくなかった場合、客観的にみて売主が買主に対し、義務を履行することが当初から不能だったように見えます。
ですが、判例では、そのような場合でも他人物売買契約が成立する、としています。
契約当初には物を売主が所有していましたが、その後に売主が所有権を過去に遡り否定された、という場合でも、他人物売買の規定が適用されます。
ただ、売主が他人物を取得することができず、その結果売主が買主にその他人物を移転することができなかった場合、買主は売主に対し、責任を追及することができます。
善意の売主は、善意の買主に対し、買主の損害を賠償することにより、契約を解除することができます。