分譲マンションなどの区分所有建物について、区分所有者が、土地に対する権利と、建物に対する権利とを切り離しを行って売却すること等を禁じていることをいいます。
分譲マンションなどの区分所有建物については、区分所有者に対しては3つの権利を保有しているものとみなされます。
一つは専有部分の所有権です。
もう一つは共用部分の共有持分です。
そして最後が土地の共有持分であり、これを敷地利用権といいます。
以上3つの権利の中で、専有部分の所有権と、敷地利用権についてを分けて処分することは、区分所有法によって基本的に禁止されています。
ですが管理規約などで区分所有法とは違う規定を定めておくことも可能となっていますが、基本的には管理規約等によって、分離して処分してはいけない、という規約を定めています。
このように敷地利用権と専有部分の一体化については、1983年の区分所有法が大きく改正されたことによって、新たに導入された制度となります。
従来は区分所有建物であったとしても、建物の権利と、土地の権利を各々に処分することが出来たため、分譲マンションの土地登記簿には、各々の住戸の売買であったり、担保設定を行うたびに、所有権移転登記であったり、抵当権設定登記を記載する必要がありました。
そのため、住戸数が多いケースでは、マンションの土地登記簿の記載内容が膨大な量となり、結果登記事務の煩雑化を招くことになり、記載ミスであったり読み間違いが多発する事態となっていました。
このような問題を解決するために、敷地利用権と専有部分の一体化という制度が導入されることになりました。
この制度が導入されたことにより、敷地利用権が常に専有部分と同時に売買等がされることになったため、区分所有建物の建物登記簿のみに集権移転登記等を書き、土地登記簿にはこれらの登記を行わない、という扱いにしました。
そうして土地登記簿へ書く事が全面的に省略されたことにより、登記事務についての業務が大幅に簡略化することが出来るようになりました。