建物の売買契約などの双務契約において、例えば、契約後に火災で建物が焼け、売主の引渡義務を果たせないような場合、損害(危険)を当事者のどちらが負担するかの問題を「危険負担」いいます。
民法の規定によれば、
●債務者主義
建物の引渡義務を負う売主(債務者)が代金を請求しえないとする考え方です。
自動車を10台売買するというように種類と数量だけが定まっているような契約の場合は、どの自動車を売るのかがはっきりした時点、つまり不特定物が特定物に変わったときから、買主である債権者が危険負担することとなり(民法534条)、その他の場合は債務者主義を採用します(同法536条)。
●債権者主義
買主(債権者)は代金を支払わねばならぬとする考え方です。
例えば、不動産のような特定物に関する物件の設定または所有者の移転をもって双務(売買等)契約の目的として場合は、債権者主義を採用します。
なお、実際の不動産取引の場合は、一般的に、民法の規定とは逆に、特約をもって債務者主義を採用します。