譲渡担保とは民法に規定はなく取引の慣行から生まれ判例学説によって認めらたもので、債権の確保のために、債務者等の財産権を債権者に譲り渡す形式の担保をいいます。例えば、不動産の割賦販売(月賦などの分割払)で、いったん売主が買主に所有権を移したあと、残代金を確保する目的で、再び、買主からその不動産の所有権を売主が譲り受けることがあります。これが譲渡担保です。
不動産の割賦販売で、所有権を売主にとどめておく所有権留保が制限されたために、その脱法行為として譲渡担保が利用されました。そこでこの譲渡担保も宅建業法で、「不動産の割賦販売で、業者が売主で買主が個人のとき、不動産を引渡し、かつ、代金の10分の3を超える支払いを受けた場合には、業者は買主からその不動産を譲り受けてはならない」と制限するようになりました。業者が買主の債務を保証する「提携ローン付き売買」でも、同趣旨のことが定められています。また債務者は目的物を債権者に引き渡す必要がなく、使用収益はそのまま債務者の自由であるため機械や設備などの生産財等に多く利用されますが、不動産についても利用可能で、登記原因を「譲渡担保」とすることも認められています。
ちなみに債務が完済されると目的物の所有権は債務者に戻りますが、弁済されないと債権者はこれを第三者に売却、または自己の所有とすることによって、優先弁済を受けることになります。ただし、もし債務の金額を物の価額が超える場合には、債権者はその超過部分を債務者に返還する必要があります(清算義務)。他の債権者が目的物を差し押えたとき、債権者は第三者異議の訴(民事執行法38条)ができます。
譲渡担保とは何?(英語表記:mortgage by transfer) |不動産用語集
譲渡担保
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