本人が相手方と通じて、虚偽の意思表示をすることを、文字通り虚偽表示といいます。
例えば、本人も相手方も不動産の売買契約を結ぶつもりがないのに、共謀して不動産の売買契約を結んだかのように見せかけるような場合が、虚偽表示に該当するといえます。
共謀したうえで行う虚偽の表示であるという意味で「通謀虚偽表示（つうぼうきょぎひょうじ）」と呼ばれることもあります。
民法第94条第1項によると、このような虚偽表示は、本人の有効な内心的効果意思を欠くので、原則として無効となるとされています。
例えば、Aが不動産を売る意思がなく、Bが不動産を買う意思がないのに、共謀して不動産売買契約を結んだように見せかけ、不動産の所有名義をAからBに変更するような場合、AB間ではこの不動産売買契約は無効となります。
従ってAは、この不動産の所有名義をBからAへ戻すように、Bに対していつでも主張することが可能ということです。
しかしながら、上記の例で不動産の所有名義をAからBに変更した間に、Bが所有名義が自分にあることを利用してこの不動産を事情を知らない第三者Cに売却してしまった場合には、この事情を知らない第三者は保護されるべきです。
民法ではこうした善意の第三者を保護するため、民法第94条第2項を定めています。
