賃貸借契約では、貸す側と借りる側のどちらが原状回復の負担をするのかについて、トラブルが発生することがある。
原状回復ガイドラインとは、原状回復をめぐるトラブルを未然に防止するために、国土交通省が1998年にまとめたガイドライン(2004年改訂)であり、正式名称は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」である。
ガイドラインでは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、原状回復のための費用は賃借人負担としている。
つまり、建物の経年劣化や賃借人の通常使用に基づく損耗は、賃借人の原状回復義務の範囲ではない。
あくまでもガイドラインなので、法的強制力はなく、多くの判例でこれに沿った判決が出される。