「管理規約」とは、区分所有建物における区分所有者相互間の関係を定めるための規則のことです。
区分所有法にもとづいて設定され、区分所有法では単に「規約」といいますが、「管理規約」というのが一般的です。
区分所有建物においては、区分所有者の権利関係が複雑であることが多いです。
区分所有者の共同の利益を害するような行為が発生する可能性があるので、それを排除する必要があります。
そのため、詳細に規則を定めた「管理規約」を区分所有者自身が設定することが、区分所有法によって義務付けられています。
管理規約を定めるためには、区分所有者の集会において、特別決議(区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上)により可決される必要があります(区分所有法第31条)。
管理規約で定める事柄には、区分所有法上の制約はありません。
そのため、区分所有者の意向によりさまざまな事項を定めることができます(区分所有法第30条)。
一般的には、次のような事柄について管理規約で定めることが多いです。
下記1.から7.は1997(平成9)年に建設省(現・国土交通省)が定めたガイドラインである「中高層共同住宅標準管理規約」から抜粋ました。
1.敷地、建物、付属施設の範囲
2.共用部分の範囲
3.敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4.専用使用権の範囲
5.敷地利用権と専有部分の分離処分の可否
6.使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
7.管理、管理組合、集会、理事会、会計等に関する事項
なお、管理規約は集会の特別決議で設定されるべきものであることは前述しましたが、次の4つに限り、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している時点において公正証書で定める場合に限り、集会を行わずとも、マンション分譲業者が単独で管理規約を設定することが可能です(区分所有法第32条)。
1.規約敷地
2.規約共用部分
3.敷地利用権の共有持分の割合
4.専有部分と敷地利用権の分離処分の可否