ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、発生した紛争に対し、訴訟などの法的手続きを介さず、民間、または行政機関が、あっせん、調停、仲裁を行うことで紛争解決を目指す方法であり、「裁判外紛争手続」ともいいます。
紛争解決の手続きとしては、「当事者間の交渉」、「裁判所による法律に基づいた裁断」の中間にあたり、訴訟手続きに比べ手続きが容易、費用の負担が少ない、当事者の意向に応じ柔軟に手続きを進められる、などの特徴があります。
不動産紛争においてもいくつかのADR機関が存在し、主なものを挙げると
・(独)国民生活センター紛争解決委員会
・指定住宅紛争処理機関(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により指定される機関で弁護士会が指定されている)
・ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)によって認証された民間ADR機関
・(一財)不動産適正取引推進機構による特定紛争処理事業(ただし、紛争当事者が直接に申し立てることはできず、一次処理機関から申請があった紛争が対象)
などがあります。
賃貸住宅をめぐる紛争のみならず、専門的な知見が必要となる紛争に対してはADRが有効であると考えられていますが、一方で、ADRの一般の認知度の低さ、判断の公平性に対する疑問などの問題点もいくつか存在します。