登記識別情報の提供は、申請人が登記名義人本人であることを確認するために行われます。
不動産登記事務取扱手続準則42条では、以下のような、登記識別情報を提供できない正当な事情を規定しています。
●登記識別情報の通知がなされなかった場合
●登記識別情報が申出により失効した場合
●登記識別情報を登記名義人が失念した場合
●登記識別情報を提供することにより登記識別情報を適切に管理する上で支障が生ずることとなる場合
●登記識別情報を提供したとすれば当該申請に係る不動産の取引を円滑に行うことができないおそれがある場合
登記識別情報の提供のない登記申請がされたときは、本人確認のために、登記官は、登記名義人が自然人のときはその登記記録上の現住所にあてて本人限定受取郵便で、法人のときはその事務所の所在地(申請人から申出があったときは代表取締役個人の住所に送付することができます。
当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは、申出をすべき期間は原則として通知を発送した日から2週間以内です(不動産登記規則70条8項本文)が、登記義務者が日本国外に住所を有する場合は4週間以内です(不動産登記規則70条8項ただし書)。
この通知は、申請人が速達料に相当する郵便切手を提出したときは、速達郵便で行われます(不動産登記規則70条3項)。
所有権に関する登記の申請が登記識別情報の提供なしになされた場合において、登記名義人の住所について変更登記(更正を含む)がされているときは、登記記録上の変更前の住所にもあてて通知を行いますが、以下の場合には変更前の住所に通知は行われません(同規則71条)。
●変更の登記原因が行政区画の変更によるもののように転居を理由とするものでない場合
●申請が変更登記から3ヵ月を経過した日以降になされた場合
●登記名義人が法人である場合
●申請人が登記名義人本人である旨の確実な情報を資格者代理人(当該登記の申請を業として代理する司法書士、土地家屋調査士、弁護士)が登記所に提供した場合
通知を受けた申請人は、登記の申請に間違いがなければ、その旨の情報を登記所に提出します(同規則70条5項)。
●オンライン申請の場合:電子署名を行ったうえ電子証明書を添付して通信回線を利用して送信します
●書面申請の場合:郵送された通知に記載して記名し、申請書又は委任状に押印したものと同一の印を用いて押印して提出します