「取消し」とは、一定の法律行為を遡って無効にすることをさし、行為が取り消されると、初めからその効果がなかったとみなされます。
取消しが認められる行為としては、①未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助者(制限能力者)の行為②詐欺・強迫によってした意思表示の2点があげられるが、取り消しできる者は本人等に限定されます。なお、行為が取消された場合、例えば売買契約は無効となり、目的物の取得や代金の収受は不当利得となります。よって、返還の義務が生じます。このような場合、制限能力者については、現に利益を受ける限度で返還すればよい(すでに消費したものなど、もはや現に利益をもたらしていないものは返さなくてよい)とされています。
取消しの効果は第三者に対抗できますが、詐欺による取消しについては善意の第三者には対抗できません。
取り消すことのできる行為については、追認によって行為を有効に確定することができるが、取消権は次のような場合、時効によって消滅します。
①追認をすることができるときから5年間行使しないとき②行為の時から20年を経過したとき
なお、行為のときに遡らない無効の意思表示を「撤回」と呼び、「取消し」と区別します。