投資ファンドのうち、国が政府マネーを運用するために設立しているファンドのことをいいます。いわゆる政府が資金を出資して投資活動を行なうための組織で、ソブリン・ウエルス・ファンド(Sovereign Wealth Fund、SWF)ともいわれています。
投資に当てられる政府資金としては、天然資源収入、外貨準備金、社会保障積立金などがあります。従来、産油国のオイルマネーを運用する投資ファンドが有名でしたが、運用母体として新たな国が参入するとともに、投資対象も優良企業の株式などに拡大していて、他国の政府系ファンドが企業経営等に関与する恐れもあると警戒する見方もあります。サブプライムローン問題以降、欧米の金融機関の中には業績が悪化し、資本不足に陥るところも出てきました。その際、アラブ首長国連邦のアブダビ投資庁が米国の大手銀行シティ・グループに出資したのをはじめ、巨額の外貨準備を抱える中国やシンガポール、中東の政府系ファンドが大規模な運用を行っており、日本企業に対しても投資されています。中東諸国は日本株を大量に保有しているといわれ、ノルウェーの基金の投資先日本企業は600社を超えるともいわれています。近年、政府系ファンドは金融市場などにおいて急速に存在感を高めていますが、その運用実態は不透明です。そのため、先進国を中心に警戒感が広がり、主要国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)でも政府ファンドに対して投資戦略の開示を求め、透明性を高くしようとする方向性を示しています。このように、政府系ファンドは、運用規模が大きく、また、投資に当たって国家的な戦略が反映されやすいことから、金融市場に与える影響はかなり大きいといわざる得ず、無視することができないものとなっています。
日本においても、外貨準備金や社会保障積立金を投資的に運用して資金量の拡大を図るべきとの意見がある一方、これらの資金をリスクに曝すことには慎重であるべきとする考えも根強くあります。