債権保全のために、債権者が債務者(または物上保証人)から物を受け取って占有し、債務が弁済されなかったときにはその物を売却して、その売却価額から債権の弁済を受けることができます。
民法第342条において、この担保物権のことを質権といいます。
なお、債権者が債務の弁済としてその物の所有権を取得するという方法があります。
これを流質契約「りゅうしちけいやく」といいますが、民法第349条により原則的に禁止されています。
ただし質屋営業法ではこの流質契約を認めています。
質権を設定する対象に応じて、動産質、不動産質、権利質に分類しています。
動産を質に取ることは現在でも質屋で一般的に行なわれていますが、不動産を質に取ることは現代ではほとんど行われません。
従って不動産の実務上で重要なのは、権利に対する質権であるといえます。
例えば、金融機関が不動産所有者に融資する際、不動産所有者が火災保険に加入し、その火災保険金の請求権について金融機関が質権を設定するのが一般的です。
つまり、不動産が火災にあった場合には、金融機関はこの質権を実行し、火災保険金から融資の優先返済を受けるという仕組みです。