このルールは日本公認会計士協会が定めたもので、2000(平成12)年7月に公表されました。特別目的会社に不動産を譲渡することにより当該不動産を資金化する場合の会計処理に当たって、その取引が不動産の売買か、金融取引かを判断するためのものです。
流動化する不動産の譲渡時の適正な価額(時価)に対するリスク負担の金額(劣後部分)の割合が、約5%程度以内の場合、リスクと経済価値のほとんどが移転しているとみなされ、この場合は売買取引(真正売買)扱いされると定められました。
なぜこのようなルールが必要かというと、不動産を譲渡した後も譲渡人が当該不動産に継続的に関わり続けるような場合には、その実態は譲渡担保(資金の供与を受ける取引)と変わらず、当該不動産を譲渡人の倒産等から隔離できないからです。これによって、会計処理上不動産の売却と認められるためには、リスクと経済的価値の大部分が投資家に移転する必要があることが明確にされました。
また、譲渡人の子会社である特別目的会社を譲受人として流動化する場合には売却取引として会計処理することはできないとされています。一方、いったん特別目的会社に不動産を売却し、改めて当該不動産を賃借する場合には、適正な賃借料を支払うという条件を満たせば真正の売却として取り扱うことができます。
ここで「5%ルール」について1点注意しなければならないことがあります。それは一般的な証券取引ルールの一つである、株券等の大量保有の状況に関する開示のルール(公開会社の発行済株式総数の5%を超えて実質的にその株式を取得した者は、原則として、取得日から5日以内に大量保有報告書等を提出しなければならない)を意味するものと、不動産の流動化における5%ルールとはまったく異なる、ということです。